Chapter 2 of 10
人生と抽象
(三〇―三三) 私は今このやうな廣い意味に於いて「抽象」といふ言葉を使ふことを躊躇する。世界の改造、並びに經驗の主觀的抑揚をも悉く「抽象」の概念の中に包括するのは、人の思索を迷路に陷らしむる虞がある。併し狹義の「抽象」にも世界の改造や經驗の主觀的抑揚と共通の動機あることを認めて、その意義を是認する點に於いては、私は今日と雖も猶この章の主旨に同感する。
(三〇―三三) 私は今このやうな廣い意味に於いて「抽象」といふ言葉を使ふことを躊躇する。世界の改造、並びに經驗の主觀的抑揚をも悉く「抽象」の概念の中に包括するのは、人の思索を迷路に陷らしむる虞がある。併し狹義の「抽象」にも世界の改造や經驗の主觀的抑揚と共通の動機あることを認めて、その意義を是認する點に於いては、私は今日と雖も猶この章の主旨に同感する。