Chapter 3 of 10
影の人
「自然的科學的の立場がぐるりと其姿を代へて神祕的形而上學的の立場に變る刹那の經驗を持たない者は氣の毒である。甚だ稀有ながら此刹那の餘光を身に浴びて、魂の躍りを直接に胸に覺えることが出來る自分は幸福であつた」(六九)。自分は三太郎にかう云はしめる資格があるだらうか。現在の自分はこの言葉を書いたことを恥かしく思ふものである。
「自然的科學的の立場がぐるりと其姿を代へて神祕的形而上學的の立場に變る刹那の經驗を持たない者は氣の毒である。甚だ稀有ながら此刹那の餘光を身に浴びて、魂の躍りを直接に胸に覺えることが出來る自分は幸福であつた」(六九)。自分は三太郎にかう云はしめる資格があるだらうか。現在の自分はこの言葉を書いたことを恥かしく思ふものである。