Chapter 1 of 4

緒言

自然をふかく研究して、そのなかから新しい法則を見つけ出すということは、人間にとっての最も大きなよろこびであり、之によって自然の限りなく巧妙なはたらきを味わい知るということは、わたしたちの心を何よりもけだかく、美しくすることのできる真実の道でもあります。昔から偉大な科学者たちは世のなかの一切の栄誉などにかかわることなく、ひたすらに自然のなかにつき入ってその秘密をさぐることに熱中しました。そこにはいろいろな苦心が重ねられたのでありましたが、それでも世界のなかで誰も知らない事がらを、自分だけがつきとめたというすばらしい喜びは、それまでの並々ならぬ困難をつぐなって余りあるものに違いなかったのでした。そして、このようにして科学は時代とともに絶えず進んで来たのでしたが、それが今日どれほど多く世のなかの人の役に立っているかは、誰も知っている通りであります。この事をよく考えて見るならば、わたしたちがふだんの生活において科学を利用して非常な便利を得ているにつけても、今までの科学者たちの多大の苦心に対して心からの感謝をささげないではすまないのでありましょう。

ところで、そのなかでも特に深く想い起されるのは、このような科学の進むべき正しい道をはっきりとわたしたちに示してくれた最初の科学者のことであります。科学は自然におけるいろいろなはたらきを研究してゆく学問であることは、上にも述べた通りであり、またそういう意味での自然の研究はごく古い時代からあったには違いないのですが、実際にその研究をどのような方法で進めてゆくべきかと云うことを明らかにしたのは、十六世紀から十七世紀の前半にわたってイタリヤで名だかかったガリレオ・ガリレイであったということは、今日一般に認められている処であって、その意味でこのガリレイは自然科学の先祖とあがめられているのです。それで私はここで幾らかのすぐれた科学者の事蹟について皆さんにお話しして見ようとするのに当って、まずガリレイのことから始めるのが、当然の順序であると考えるのです。

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