Chapter 1 of 3

ある田舎に、二人の百姓が住んでおりました。平常はまことに仲よく暮らしていました。二人とも勉強家で、よく働いていましたから、毎年穀物はたくさんに穫れて、二人とも困るようなことはありませんでした。

あるとき、甲は乙に向かっていいました。

「おたがいに達者で、働くことはできるし、それに毎年気候のぐあいもよくて、圃のものもたくさん穫れて、こんな幸福なことはない。いつまでも仲よく暮らして、おたがいに助け合わなければならん。」と、たばこに火をつけて、それを吸いながらいいました。

「ほんとうでございます。ほかに頼みになる人もおたがいにないのだから、助け合わなければなりません。」と、乙は答えました。

太陽は、晴れやかに話をしている二人を照らしていました。二人は、のんきに、いつまでも仲よく話をしていました。そして、二人は別れて、おたがいに自分たちの圃にいって働きはじめました。

二人の圃は、だいぶ離れていました。けれど毎年穀物は、ほとんど同じようによくできたのであります。

二人は、圃に成長する穀物を見て、それをなによりの楽しみにいたしました。甲は乙の圃へゆき、乙はときどき甲の圃へきて、たがいに野菜や穀類の伸びたのをながめあって、ほめあったのであります。

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