Chapter 1 of 4

今日世間では頻りに文化的ということを言っている。しかしそれは単に趣味の上で洗練されたことを言っているのだろう。今日の社会に於いて教養とか、或いは趣味とか、或いは人格の洗練とかいうことは、凡そ何を標準として言うのであるか。それは窮極の生活に於いて、気持ちのよい生活をするということにすぎない。言葉を換うれば今日の文化はそのまま肯定して、今日の文明に適当した生活を指して言っているのだろう。

だから文化的ということは、今日どういう階級によって口にせらるるかといえば、それは勿論ブルジョアの知識階級に於いてである。そして所謂知識階級に於いてである。その精神は何といっても今日の文明の擁護である。決して今日の文明の否定ではない。

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