Chapter 1 of 4

ある青年は、毎日のように、空を高く、金色の鳥が飛んでゆくのをながめました。彼は、それを普通の鳥とは思いませんでした。なにか自分にとって、いいことのある使いであろうというように思ったので、その鳥の行方を探そうとしました。どこかに巣があるにちがいない。その巣を探し出さなければ帰ってこないと決心をして、家を出かけたのであります。なんでも、金色の鳥は、晩方になるとあちらの山の方へ帰ってゆきましたから、青年は、その山の方へとゆき、高い山を上ってまいりました。すると、山から一人の猟師が鉄砲をかついで、胸にぴかぴか光るものを下げて降りてきました。

青年は、不思議なものを見たものだ。なぜなら、そのぴかぴかする光は、大空をはるかに飛んでいった鳥の光に、よく似ていると思ったからでした。

「この山へ登る道は、まだよほどけわしいのですか……。そして、鳥のすんでいるような森がありますか?」といって、青年は猟師にききました。猟師は、目をみはって、

「あなたは、なんでこの山へ上りなさるのか……。」と、問い返しましたから、青年は、金色の鳥の巣をたずねてきたものだと答えました。

「その鳥というのは、私が、今日山で打ち落としたこのわしだ。わしの足に、ぴかぴか光るかぎがついていたのだ。そのかぎというのは、私の胸にぶらさがっているこのかぎじゃ。」といいました。

なるほど、猟師は脊に大きな灰色をしたわしを負っていました。青年は、毎日のように大空を高く飛んでいった鳥は、このわしであったかと思いました。それよりは猟師の胸にぶらさがっているかぎがたまらなく欲しくなりました。このかぎがあったら、なにか大きな幸運が自分のために開かれはしないかという感じがしたからであります。

「私に、そのぴかぴか光るかぎを譲ってくださいませんか。」と、青年は、猟師に頼みました。

猟師は考えていましたが、

「おまえさんは、この光ったものが欲しいばかりに、この山へ上ってきなされたのだから、このかぎをあげましょう。私は、このわしがほしいばかりに打ったのだから、もともとこんなものは必要がない……。」といって、胸にぶらさげていたかぎを取って、青年にくれました。

青年は、どれほど、うれしかったかしれません。猟師と別れて、山を下りました。

「このかぎは、どんな箱を開けるためであったろう?」と、彼は、そのかぎをよくよく手にとってみますと、2という番号がついていました。

しかし、だれが、いつ荒わしの足に、このかぎを結びつけたものかわかりません。また、なんのためにそうしたものかということも、知られるはずはなかったのです。

ただ荒わしは、その足で暴風雨の中を翔けました。また、雪の中を歩きました。また林や、砂漠の中や谷や、山のいただきや、ところかまわずに、降りたり飛んだりしたのでありましょう。またその足で、勇敢に敵と戦ったこともあったでしょう。それがために、かぎは、金色にぴかぴかとみがかれて光っていました。青年は、2はどうした番号であるか、かぎに刻まれている文字を見てもわかりませんでした。けれど、そのときから、このかぎで開かれるものを、この世の中に見いだしたときに、ほんとうに自分は幸福であり得るのだと考えました。それから彼の長い旅はつづいたのです。

Chapter 1 of 4