Chapter 1 of 3
一
星は、毎夜さびしい大空に輝いていました。そして下界を照らしていましたけれど、だれも星を見てなぐさめてくれるものとてなかったのです。星は、それを頼りないことに思っていました。
鶏が、朝早く起きて、そのりこうそうな黒い瞳の中に、星影を映して、勇んで鳴いてくれなかったならば、星は、毎夜毎夜、音もない野原や、黒い村や、白く霧のかかった林や、ものすごい水の上を照らしていることが、もう飽き飽きして、まったくいやになってしまったにちがいありません。
けれど、若々しい鶏の喜ばしそうな鳴き声を聞くと、星は、すべての長い夜の間の物憂かったことなどを忘れてしまいます。そうして、つい鶏の愛想のいいのに引き込まれて、いっしょに日の上らない朝の間を楽しく送るのでありました。
そのうちに太陽が東の空を上ると、もはや鶏に別れを告げなければなりません。星はさも名残惜しそうにして、西の空に没してゆくのでありました。すると鶏も、もう鳴くのをやめてしまいます。
こんなふうにして、星と鶏とはたいそう仲がよかったのです。星の黙って、ぴかぴかとしてお話をするのを、鶏は頭を傾けて聞いていました。そして鶏だけには、星のものをいうことがよくわかりました。また、鶏の鳴いていろいろなことを話すのも、星にはよくわかりました。
「まだ牛も馬も眠っています。私だけが起きたのです。」と、鶏は、大きな声を出して叫びます。またつぎに、
「いま、ようやく家の人たちは起きました。そして、勝手もとでガタガタ音をさせています。いま、ろうそくに火を点けて、裏口の方へ出てゆきます。きっと馬にまぐさをやるのでしょう。」と、鶏は告げていました。