Chapter 1 of 2

その一

大海かたち定めぬ劫初の代に

水泡の嵐たゆたふ千尋の底。

折しも焔はゆるき『時』の鎖、

まひろく永き刻みに囚れつつ、

群鳥翔る翼のその噪ぎと、

その疾さあらめ、宛も眠り転び、

無際の上枝下枝を火の殻負ひ

這ひもてわたる蝸牛の姿しめす。

火と水、相遇はざりし心を、今、

夜とせば、かりそめならぬ朝や日や、

舞ひたつ疾風歓喜空を揺りて、

擁きぬ、触れぬ、燃えなす願ひよ、将た、

霑すおもひよ、ここに力の芽は

男子と燻りて、雙手、見よ、披けり。

Chapter 1 of 2