Chapter 1 of 13
はしがき
此書は有名なレウィス、キァロルと云ふ人の筆に成つた『アリス、アドヴェンチュアス、イン、ワンダーランド』を譯したものです。邪氣なき一少女の夢物語、滑稽の中自ら教訓あり。むかし、支那の莊周といふ人は、夢に胡蝶と化つたと云ふ話しがありますが、夢なればこそ、漫々たる大海原を徒渉りすることも出來ます、空飛ぶ鳥の眞似も出來ます。世に夢ほど面白いものはありません。今少時、※さんの膝を枕の假寐に結んだ愛ちやんの夢、解いてほどけば美しい花の數々、色鮮かにうるはしきを摘みなして、この一篇のお伽噺は出來あがつたのです。
明治四十二年十二月譯者