Chapter 1 of 1

Chapter 1

痩たる土壌をかなしむなく

遠き遍土にあるをかこつなく

春となれば芽をだし

夏となれば緑を盛り花を飾る

貧しく小さくして尚たゆまず

ただ一つ

秋、凡ての秋において

ただ一つ

種を孕んだわが名知らぬ草

精一杯に伸びんとして努力空しく

夏のま中炎天のあまり枯死してしまったものもある

草にして一生は尊い生命の凡てである

一つの種は一つの種をはらんだ

そして遍土の痩土に

初冬のころ

雪を戴き埋れ、静かに待っていた一つの風景

一九二七年十二月拙き心情を綴り旭川にある小熊秀雄氏に贈る

●図書カード

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