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アイヌ神謡集
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アイヌ神謡集
作者不詳
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Translation Pagera AI
Original Public Domain
Chapter 3 of 16

3

chikoisoitaka, ainukotan chihotanukar

eneshirani eneshirkii chiomommomo ko,

kamuiutar unkopuntek.

Kamuiutar hekompaita pirka inau

tup chikore rep chikore.

Nea ainukotan orun inkarash ko

tane anakne ratchitara ainupitoutar

opittano uwekatairotke nea nishpa

kotan esapane wa okai,

nea hekachi tane anakne okkai pakno

shikup wa, mat ka kor po ka kor,

onaha ka, unuhu ka, nunuke kor okai,

rammaramma sakekarichi ko

ikiratpa ta usa inau usa sake unenomi,

chiokai nakka ainuutar sermakaha

hempara nakka chiehorari,

ainumoshir chiepunkine wa okayash.

ari kamuichikap kamui isoitak.

(1) 昔は男の子が少し大きくなると,小さい弓矢を作って与えます.子供はそれで樹木や鳥などを的に射て遊び,知らずしらずの中に弓矢の術に上達します.

ak……は弓術,shinot は遊戯,ponai は小矢.

(2) shiktumorke……眼つき.

人の素性を知ろうと思う時は,その眼を見ると一ばんよくわかると申しまして,少しキョロキョロしたりすると叱られます.

(3) achikara……「汚い」という意味.(4) 鳥やけものが人に射落されるのは,人の作った矢が欲しいので,その矢を取るのだと言います.(5) kotankorkamui……国または村を持つ神.

山には,nupurikorkamui……山を持つ神(熊)と nupuripakorkamui……山の東を持つ神(狼)などがあって,ふくろうは熊,狼の次におかれます.

kotankorkamui は山の神,山の東の神,の様に荒々しいあわて者ではありません.それでふだんは沈着いて,眼をつぶってばかりいて,よっぽど大変な事のある時でなければ眼を開かないと申します.

(6) eharkiso……左の座.(7) eshiso……右の座.

家の央に囲炉裏があって,東側ののある方が上座,上座から見て右が eshiso 左が harkiso.上座に坐るのは男子に限ります.お客様などで,家の主人よりも身分の卑しい人は上座につく事を遠慮します.右の座には主人夫婦がならんですわる事にきまっています.右座の次が左の座で,西側(戸口の方)の座が一ばん下座になっています.

(8) hayokpe 冑.

鳥でもけものでも山にいる時は,人間の目には見えないが,各々に人間の様な家があって,みんな人間と同じ姿で暮していて,人間の村へ出て来る時は冑を着けて出て来るのだと云います.そして鳥やけものの屍体は冑で本体は目には見えないけれども,屍体の耳と耳の間にいるのだと云います.

(9) otuipe……尻の切れた奴.

犬の尻尾の切れた様に短いのはあまり尊びません.

極くつまらない人間の事を wenpe……悪い奴,otuipe……尻尾の切れた奴と悪口をします.

(10) chikashnukar.神が大へん気に入った人間のある時,ちっとも思いがけない所へ,その人間に何か大きな幸を恵与すると,その人は ikashnukar an と云ってよろこびます.(11) apehuchi……火の老女.火の神様は,家の中で最も尊い神様でおばあさんにきまっています.山の神や海の神,その他種々な神々がこのふくろうの様にお客様になって,家へ来た時は,この apehuchi が主になって,お客のお相手をして話をします.ただ kamuihuchi(神老女)と云ってもいい事になっています.(12) neusar 語り合う事.

種々な世間話を語り合うのも neusar.普通 kamuiyukar(神謡)や uwepeker(昔譚)の様なものを neusar と云います.

(13) ashke a uk.ashke は指,手.a uk は取る.なにか祝いがあるとき人を招待する事を云います.(14) kakkokhau……カッコウ鳥の声.

カッコウ鳥の声は,美しくハッキリと耳に響きますから,ハキハキとしてみんなによくわかるように物を云う人の事をカッコウ鳥の様だと申します.

(15) chisekorkamui……家を持つ神.

火の神が主婦で,家の神が主人の様なものです.男性で chisekorekashi……家を持つおじいさんとも申します.

(16) nusakorkamui……御幣棚を持つ神,老女.

御幣棚の神も女性にきまっています.何か変事の場合人間にあらわれる事がありますが,その時は蛇の形をかりてあらわれると云います.それで御幣棚の近所に,または東の方のの近所に,蛇が出て来たりすると,「きっと御幣棚のおばあさんが用事があって外出したのだろう」と言って,決してその蛇を殺しません.殺すと罰が当りますと云います.

梟の神の自ら歌った謡

「銀の滴降る降るまわりに」

「銀の滴降る降るまわりに,金の滴

降る降るまわりに.」という歌を私は歌いながら

流に沿って下り,人間の村の上を

通りながら下を眺めると

昔の貧乏人が今お金持になっていて,昔のお金持が

今の貧乏人になっている様です.

海辺に人間の子供たちがおもちゃの小弓に

おもちゃの小矢をもってあそんで居ります.

「銀の滴降る降るまわりに

金の滴降る降るまわりに.」という歌を

歌いながら子供等の上を

通りますと,(子供等は)私の下を走りながら

云うことには,

「美しい鳥! 神様の鳥!

さあ,矢を射てあの鳥

神様の鳥を射当てたものは,一ばんさきに取った者は

ほんとうの勇者,ほんとうの強者だぞ.」

云いながら,昔貧乏人で今お金持になってる者の

子供等は,金の小弓に金の小矢を

番えて私を射ますと,金の小矢を

私は下を通したり上を通したりしました.

その中に,子供等の中に

一人の子供がただの(木製の)小弓にただの小矢

を持って仲間にはいっています.私はそれを見ると

貧乏人の子らしく,着物でも

それがわかります.けれどもその眼色を

よく見ると,えらい人の子孫らしく,一人変り

者になって仲間入りをしています.自分もただの小弓に

ただの小矢を番えて私をねらいますと,

昔貧乏人で今お金持の子供等は大笑いをして

云うには,

「あらおかしや貧乏の子

あの鳥,神様の鳥は私たちの

金の小矢でもお取りにならないものを,お前の様な

貧乏な子のただの矢腐れ木の矢を

あの鳥,神様の鳥がよくよく

取るだろうよ.」

と云って,貧しい子を足蹴にしたり

たたいたりします.けれども貧乏な子は

ちっとも構わず私をねらっています.

私はそのさまを見ると,大層不憫に思いました.

「銀の滴降る降るまわりに,

金の滴降る降るまわりに.」という歌を

歌いながらゆっくりと大空に

私は輪をえがいていました.貧乏な子は

片足を遠く立て片足を近くたてて,

下唇をグッと噛みしめて,ねらっていて

ひょうと射放しました.小さい矢は美しく飛んで

私の方へ来ました,それで私は手を

差しのべてその小さい矢を取りました.

クルクルまわりながら私は

風をきって舞い下りました.

すると,彼の子供たちは走って

砂吹雪をたてながら競争しました.

土の上に私が落ちると一しょに,一等先に

貧乏な子がかけついて私を取りました.

すると,昔貧乏人で今は金持になってる者の

子供たちは後から走って来て

二十も三十も悪口をついて

貧乏な子を押したりたたいたり

「にくらしい子,貧乏人の子

私たちが先にしようとする事を先がけしやがって.」

と云うと,貧乏な子は,私の上に

おおいかぶさって,自分の腹にしっかりと私を押えていました.

もがいてもがいてやっとの事,人の隙から

飛び出しますと,それから,どんどんかけ出しました.

昔は貧乏人で今は金持の子供等が

石や木片を投げつけるけれど

貧乏な子はちっとも構わず

砂吹雪をたてながらかけて来て一軒の小屋の

表へ着きました.子供は

第一のから私を入れて,それに

言葉を添え,斯々のありさまを物語りました.

家の中から老夫婦が

眼の上に手をかざしながらやって来て

見ると,大へんな貧乏人ではあるけれども

紳士らしい淑女らしい品をそなえています,

私を見ると,腰の央をギックリ屈めて,ビックリしました.

老人はキチンと帯をしめ直して,

私を拝し

「ふくろうの神様,大神様,

貧しい私たちの粗末な家へ

お出で下さいました事,有難う御座います.

昔は,お金持に自分を数え入れるほどの者で

御座いましたが今はもうこの様に

つまらない貧乏人になりまして,国の神様

大神様をお泊め申すも

畏れ多い事ながら今日はもう

日も暮れましたから,今宵は大神様を

お泊め申し上げ,明日は,ただイナウだけでも

大神様をお送り申し上げましょう.」という事を

申しながら何遍も何遍も礼拝を重ねました.

老婦人は,東のの下に

敷物をしいて私をそこへ置きました.

それからみんな寝ると直ぐに高いびきで

寝入ってしまいました.

私は私の体の耳と耳の間に坐って

いましたがやがて,ちょうど,真夜中時分に

起き上りました.

「銀の滴降る降るまわりに,

金の滴降る降るまわりに.」

という歌を静かにうたいながら

この家の左の座へ右の座へ

美しい音をたてて飛びました.

私が羽ばたきをすると,私のまわりに

美しい宝物,神の宝物が美しい音をたてて

落ち散りました.

一寸のうちに,この小さい家を,りっぱな宝物

神の宝物で一ぱいにしました.

「銀の滴降る降るまわりに,

金の滴降る降るまわりに.」

という歌をうたいながらこの小さい家を

一寸の間にかねの家,大きな家に

作りかえてしまいました,家の中は,りっぱな宝物の積場

を作り,りっぱな着物の美しいのを

早つくりして家の中を飾りつけました.

富豪の家よりももっとりっぱにこの大きな家の

中を飾りつけました.私はそれを終ると

もとのままに私の冑の

耳と耳の間に坐っていました.

家の人たちに夢を見せて

アイヌのニシパが運が悪くて貧乏人になって

昔貧乏人で今お金持になっている者たちに

ばかにされたりいじめられたりしてるさまを私が見て

不憫に思ったので,私は身分の卑しいただの神では

ないのだが,人間の家

に泊って,恵んでやったのだという事を

知らせました.

それが済んで少したって夜が明けますと

家の人々が一しょに起きて

目をこすりこすり家の中を見るとみんな

床の上に腰を抜かしてしまいました.老婦人は

声を上げて泣き,老人は

大粒の涙をポロポロこぼして

いましたが,やがて,老人は起き上り

私の処へ来て,二十も三十も礼拝

を重ねて,そして云う事には,

「ただの夢ただの眠りをしたのだと

思ったのに,ほんとうに,こうしていただいた事.

つまらないつまらない,私共の粗末な家に

お出で下さるだけでも有難く存じますものを

国の神様,大神様,私たちの不運な

事を哀れんで下さいまして

お恵みのうちにも最も大きいお恵みをいただき

ました事.」と云う事を泣きながら

Chapter 3 of 16
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