佐々木味津三
佐々木味津三 · Japanese
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佐々木味津三 · Japanese
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Original (Japanese)
1 その第三十五番てがらです。 鼻が吹きちぎられるような寒さでした。 まったく、ひととおりの寒さではない。いっそ雪になったらまだましだろうと思われるのに、その雪も降るけしきがないのです。 「おお、つめてえ、ちきしょう。やけにまた寒がらしをきかしゃがらあ。だから、ものごとの正直すぎるってえのはきれえなんだ。たまには寒中にほてってみろよ。冬だからたって、なにもこう正直に凍みなくたっていいじゃねえか。いるんですかい」 朝も今、夜があけたばかり、――この寒いのに、こんな早く変な声がしたからにはもちろん伝六であろうと、ひょいとみると、伝六は伝六だったが変なやつでした。しょんぼりと立って、めそめそ泣いているのです。 「なんだ」 「へ……?」 「へじゃないよ。たった今がんがんとやかましくがなってきたのに、なにを急にめそめそやるんだよ。寒にあてられたのかい」 「あっしが泣いたからって、いちいちそうひやかすもんじゃねえんですよ。悲しいのはあっしじゃねえんだ。こう暮れが押しつまっちゃ、人づきあいをよくしておかねえと、どこでだれに借銭しなくちゃならねえともかぎらねえからね。そのときの用心にと思って、ちょっと
佐々木味津三
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