Chapter 1 of 3
馬鈴薯階級の詩 (一)
カマドガヤシの白い穂が
雪の様に飛ぶ十一月の野良で
仁平はおっかあや娘と仕事着の尻、枯っ風にひったくられ乍ら
馬鈴薯選別して俵につめていた。
もうこうなっては、安くとも高くとも売ってしまわねばシバレテしまう。
雲間を飛ぶ淡い月の光をあてに
空腹にゆるんだモンペのひも〆なおして
さて、今夜もよなべ、
疲れて這う様にして小屋に帰り、
黒い麦飯とナッパ汁かっ込んで
仁平はいろりのはたで生活の重圧に曲った腰をさすり乍ら考えた
薯十六貫俵がたった八十銭。
地代と肥料代差引いたらあとに何が残るかよ
おっかあはあんまり馬鹿臭いから埋めといて春までまったらと言うけんど
年貢と税金だけは食わんねいでいてもおさめんにゃなんねい。
何が 何でい
人間並以上に働きつづけてそれでも食えないってのは俺の責任じゃねいや。
仁平はおこりっぽくいろりの中につばを吐いて
ゴロリと横になった
石油のつきたランプの灯が次第に暗く
おっかあも娘もいろりのはたに寝そべったまんま、
果しなく疲れていった。