野村胡堂
野村胡堂 · Japanese
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野村胡堂 · Japanese
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Original (Japanese)
石原の利助が大怪我をしたという噂を聞いた銭形の平次、何を差措いても、その日のうちに見舞に行きました。 同じ十手捕縄を預かる仲間、昔は手柄を張合った気まずい仲でしたが、利助も取る年でいくらか気が挫けた上、平次の潔白な侠気が、何より先に、娘のお品を動かして、今では身内のように付き合っている二人だったのです。 「兄哥、災難だったそうだね。一体、どうしたことなんだ」 案内されて、中へ通った平次、お品の勧める座蒲団を押やって、利助の枕元に膝行り寄りました。 「平次兄哥か、わざわざ有難う。なアに、何でもありゃアしない、言わば、俺が間抜けなんだよ――」 妙に苦い口調で、利助は半面晒布で包んだ顔をねじ向けました。 「眼をどうかしたっていうじゃないか」 「それがこうなんだ、――昨夜、もう蚊もいないし、涼しくて良い心持だから、縁側へ籠枕を出して、無精なようだが、ついウトウトとやると、いきなりハッと眼へ来たものがある」 「ヘエ」 「眼を開いていりゃア、間違いもなく眇目にされたが、幸いつぶっていたから、眉から瞼へかけて恐ろしい傷だ。球も少しはやられたかも知れないが、白眼だから、傷になっても、見えなくなるような
野村胡堂
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