Chapter 1 of 1

Chapter 1

光り蟲しげく跳びかへる

夜の海の青き面をや眺むらむ

あてなき瞳遠く放たれ

息らひたまふ君が側へに寄りそへるに

浪はやさしくさしきたり

またひき去る浪

遠き渚に海月のひもはうちふるへ

月しらみわたる夜なれや

言葉なくふたりさしより

涙ぐましき露臺の椅子にうち向ふ

このにほふ潮風にしばなく鴎

鱗光の青きに水流れ散りて

やまずせかれぬ戀魚の身ともなりぬれば

今こそわが手ひらかれ

手はかたくあふるるものを押へたり。

ああかの高きに星あり

……………

しづかに蛇の這ひ行くごとし。

●図書カード

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