Chapter 1 of 1
Chapter 1
昨日は重い空に湿っぽい風だった。
鋲どめた「五月祭のビラ」の傍に
白い優曇華の花が咲いていたっけ
梅雨時の箒を遁れて咲いていたっけ
首 うなだれてはこみあげる憤怒を
首 うなだれてはこみあげる憤怒を
奴!
首 うなだれてはこみあげる憤怒!
今日は薄縁三畳の檻の中
鉄格子と金網の窓に獅噛みつき
ガラス戸の隙間三寸
高い石塀を越えて
黒雲ちぎれ飛ぶ空模様に
凝乎と眼を注ぎ
歯を喰いしばって北叟笑むでる。
(『戦旗』一九二八年十月号に発表 一九三一年一月改造社刊『戦旗三十六人集』を底本)
●図書カード