Chapter 1 of 3

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視野一面 連る山脈の彼方に朝やけの赤い太陽――ペダルを力一杯 地下足袋で踏んづけて工事場へ走る俺達

爽涼たる朝霧の中に曲りくねった山峡の白い路杉と雑木と 山の背の彼方に見えては かくれ かくれては現われる相棒の姿俺は呼びかける――おうい待てよう――ほーい山萩の垂れ下った曲路の向う側にあいつの自転車は消えてベルの音とこだまだけが深い谷間に残る――早う来んと歩が切れるぞう

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