泉鏡花 · 일본어
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원문 (일본어)
「はゝあ、此の堂がある所爲で==陰陽界==などと石碑にほりつけたんだな。人を驚かしやがつて、惡い洒落だ。」 と野中の古廟に入つて、一休みしながら、苦笑をして、寂しさうに獨言を云つたのは、昔、四川都縣の御城代家老の手紙を持つて、遙々燕州の殿樣へ使をする、一刀さした威勢の可いお飛脚で。 途次、彼の世に聞えた鬼門關を過ぎようとして、不案内の道に踏迷つて、漸と辿着いたのが此の古廟で、べろんと額の禿げた大王が、正面に口を赫と開けてござる、うら枯れ野に唯一つ、閻魔堂の心細さ。 「第一場所が惡いや、鬼門關でおいでなさる、串戲ぢやねえ。怪しからず霧が掛つて方角が分らねえ。石碑を力だ==右に行けば燕州の道==とでもしてあるだらうと思つて見りや、陰陽界==は氣障だ。思出しても悚然とすら。」 飛脚は大波に漾ふ如く、鬼門關で泳がされて、辛くも燈明臺を認めた一基、路端の古い石碑。其さへ苔に埋れたのを、燈心を掻立てる意氣組で、引るやうに拂落して、南か北か方角を讀むつもりが、ぶる/\と十本の指を震はして、威かし附けるやうな字で、曰く==陰陽界==とあつたので、一竦みに縮んで、娑婆へ逃出すばかりに夢中で此處まで駈けた

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