Chapter 1 of 1
Chapter 1
ほんの僅かな時でよい生活のわずらいから脱れ静な時をもつ事は――おお 何と云う仕合せだろう
昨日 私は 書斎でたった一人ッきりの私の世界で海を越えた遠い国の 心の友の著書を読み今日も亦 別の友のを読んだが
私は私のこころにふれ私の一番懐しい私を彼処にそして 一人はもう此の世を去った過ぎし日に時と処とを越えて見出した
ああ その歓び その深い歓び永遠の自分を感じた霊の潤いこれこそ まことの私の幸福それにしてもそれにしてもその僅な時をすら与えられないとは
友よ 取ろうではないかこの最もハンブルな 無形な幸福を――いやその幸福を 邪魔する間垣を破ろうではないか永遠の人類のために――さあそのために此の身を捨てても進もうではないか我等のつとめを果すために(発表誌不詳 『社会派アンソロジー集成』別巻を底本)
●図書カード