Chapter 1 of 7

岩魚

――宋青磁浮紋双魚鉢――

五月のあかるい昼さがり

あまりに生の時間が重いので

私はひとり青磁の鉢を見ている

空いろの底に

二匹の岩魚が見えたりかくれたり

すぎる風に水がゆれると

岩魚の背もかすかに紅いろに光る

また 水底をよぎる遠い宋時代の雲

ながい時間のかげりをひいて

愁いの淵に岩魚は ねむり

時に目を醒まして はねると

いつのまにか蒼天をおよいでいる

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