Chapter 1 of 6
Chapter 1
尾道銘菓 鯨羊羹
古来より海洋資源に恵まれていた日本は、地球上最大の動物の「鯨」も例外なく、肉・脂・表皮をはじめ、「鯨尺」の名があるようにその材料として「ひげ」まで無駄なく大切に利用してきました。古くからの港町・尾道では、対岸の向島・岩小島で正月に決まって出産の為鯨の姿が現れたと、室町時代の初め武将・歌人の今川貞世が「道ゆきぶり」に記しています。現在では高価となった鯨ですが、当地では肉とともに食材とされ、「おばけ」または「おばいけ」といって、表皮の黒い部分とその下の「白皮」とよばれる脂肪層を薄く切って熱湯をかけ、流水でよく晒し酢味噌で食べる「さらし鯨」は極めて一般的な食べ物でした。
「鯨羊羹」は、元は「鯨餅」といって、黒と白の二層の蒸し羊羹として江戸時代の記録に残っております。寒天の発見後、十八世紀後半頃より現在の羊羹に似た物が造られ、「鯨羊羹」もあわせて現在の様になったものと思われます。
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お願い
鯨羊羹は黒い部分(錦玉羹)と白い部分(道明寺羹)とは材質が異なるため、この面が多少剥がれ易くなっております。
小口にされるときは、お手数でも流し枠を全て剥がし、黒い錦玉羹部分を上にしてお切り下さる様、お願い申し上げます。
昔から、「鯨羊羹」は鯨の皮を意匠に採り入れたものですが、鯨の肉・脂・皮などは、一切使用しておりません。
尾道「鯨羊羹」説明書きより