Chapter 1 of 1

Chapter 1

あゝ終の夕は来りぬ、

天昏に地昏にさはなる

不浄はもこゝに亡ぶか、

洗礼女――河原の葦に

法涙の露無量光、

新らしき生命の慈相――

十夜法会の跡さびしき、

天台の寺院の堂に、

いからしく波うつ霧や、

仏龕の虫ばむ音は、

悲しとも、これも自然が

法の座へ辿る足音ぞ、

きけ葦のさなす小琴に、

霊のうた『血汐は白し

血は白し、こや敬虔の

古瓶の封を破らず

時をまち考え伏して

いまぞいま『自然』に浸す、

白き血に映れ大天、

白き血を吸へや大地

ありとある孤独のものは

静寂の法に帰依して

黙しつゝ白き血飲め』と、

きくからに身も溶けごゝち。

見かへれば喬木のしげみ

天台の寺院は闇に――

うなだれて物思ひ立てる

己が身も小河も葦も

大法の一切滅に

あゝなべて見えざる光輝――

●図書カード

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