Chapter 1 of 1

Chapter 1

凶会日は凶会日と見て

病めるもの衰へしもの、

床の上にすなほに僵れ、

瓶の身は砕けてちりて、

滅亡に入らむ。

床の上に破れぬ、花瓶、

されどそが『こゝろ』は如何に、

すなほにと云へど、やさしき、

砕けにはあらず、はげしく

叫ぶを聞きぬ。

人の子は瓶にもあらず、

運命は運命と観て、

秋のくれ、死ぬるといふ夜、

ほのかなる燭の火のかげに、

題目をこそ――

蝋燭はかすかに音し、

黄ばむ火は寒げに揺れぬ。

刻々に面がはりゆく

あゝ死相――刹那よ黒く、

つくは呻吟。

破瓶を画師うち抱き、

死人を法師みちびき、

秋の野へ、葬りの途に、

また聞きぬ、見ぬ、黒牛の

これも呻吟。

●図書カード

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