Chapter 1 of 1

Chapter 1

戦死やあわれ

兵隊の死ぬるやあわれ

とおい他国で ひょんと死ぬるや

だまって だれもいないところで

ひょんと死ぬるや

ふるさとの風や

こいびとの眼や

ひょんと消ゆるや

国のため

大君のため

死んでしまうや

その心や

苔いじらしや あわれや兵隊の死ぬるや

こらえきれないさびしさや

なかず 咆えず ひたすら 銃を持つ

白い箱にて 故国をながめる

音もなく なにもない 骨

帰っては きましたけれど

故国の人のよそよそしさや

自分の事務や 女のみだしなみが大切で

骨を愛する人もなし

骨は骨として 勲章をもらい

高く崇められ ほまれは高し

なれど 骨は骨 骨は聞きたかった

絶大な愛情のひびきを 聞きたかった

それはなかった

がらがらどんどん事務と常識が流れていた

骨は骨として崇められた

骨は チンチン音を立てて粉になった

ああ 戦場やあわれ

故国の風は 骨を吹きとばした

故国は発展にいそがしかった

女は 化粧にいそがしかった

なんにもないところで

骨は なんにもなしになった

●図書カード

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