Chapter 1 of 361
一月一日(日曜)
起床十二時。屠蘇・雑煮。母上・道子同道出かける。中野実出征留守宅へ「新婚二人三脚」の脚本料を届けに行く。それから雑司ヶ谷墓地に参り、三時に東宝グリルへ行く。一座の新年祝賀会である。座員一同揃ひ、君ヶ代を歌ふ。天皇陛下万才を三唱して、座へ出る。補助椅子も売り切れたさうで、去年より一層いゝ入りらしい。今年第一回の芝居が始まる。「松の一番」が、まづ受けた。二が「新婚二人三脚」これはひどい本故、めちゃくちゃをやって、わけもなく笑って貰ふより手はないと思ひ、例の半白痴的ハリキリボーイでやる。それがワッと来るので、杉寛の腰かけてる上へ、飛びついてみたりして、ます/\笑はせる。次が「遠山の金さん」、かなり安心してゐたのだが、思ったほどには受けない、僕が又悪く芝居にしすぎて、こはし損った感じもある。四が「ロッパフォリース」後半がいけなかった、特別出演のあきれたぼういずが、まあ/\受けてゐるが、タップの稲葉や歌の豊島珠江は一つも手がとれない。僕の「豪快ぶし」がクサリで、歌ふ気がしない。「フォリース」の作・編曲の鈴木静一もしきりにクサってゐる、井田一郎の指揮がクサリの大きな原因だ。帰宅してウイスキー少々のむ。