Chapter 1 of 1

Chapter 1

女は夜半に起きて燭を點じ泥を取つて身に塗り、さて呪文を唱ふれば、身たちどころにサバトの集會に向ふ。

ジァン・ボダン「方士鬼に憑かるる事」

羹を吸ふもの十二人、各の手にある匙は亡者の前腕の骨である。

炭火は赤く爐に燃え、燭は煙つてだらだらと蝋を流し、皿の中からは春さきの溝のやうな臭が立つ。

マリバスが笑つたり、泣いたりすると、破オロンの三筋の絲を弓で扱くやうな唸が聞える。

然し一人の兵隊はそら恐しい事だが、机の上に蝋燭を立てて魔法の書を開け廣げた。本の上には火に迷つて來た蟲が跳ねてる。

此蟲が飛び跳ねてゐる最中、毛むくじやらの脹れた腹の處から、蜘蛛が出て來て、幻術の書の邊を這つて行く。

而も此時方士も魔女も既に煙突から飛び出してゐたのだ。或は箒木、或は火ばさみに跨り、そしてマリバスは揚鍋の柄に乘つて出ていつた。

●図書カード

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