Chapter 1 of 1

Chapter 1

森の上のこの神楽殿

いそがしくのぼりて立てば

くわくこうはめぐりてどよみ

松の風頬を吹くなり

野をはるに北をのぞめば

紫波の城の二本の杉

かゞやきて黄ばめるものは

そが上に麦熟すらし

さらにまた夏雲の下

青々と山なみははせ

従ひて野は澱めども

かのまちはつひに見えざり

うらゝかに野を過ぎり行く

かの雲の影ともなりて

きみがべにありなんものを

さもわれののがれてあれば

うすくらき古着の店に

ひとり居て祖父や怒らん

いざ走せてこととふべきに

うちどよみまた鳥啼けば

いよいよに君ぞ恋しき

野はさらに雲の影して

松の風日に鳴るものを

●図書カード

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