Chapter 1 of 1

Chapter 1

さやかなる夏の衣して

ひとびとは汽車を待てども

疾みはてしわれはさびしく

琥珀もて客を待つめり

この駅はきりぎしにして

玻璃の窓海景を盛り

幾条の遙けき青や

岬にはあがる白波

南なるかの野の町に

歌ひめとなるならはしの

かゞやける唇や頬

われとても昨日はありにき

かのひとになべてを捧げ

かゞやかに四年を経しに

わが胸はにはかに重く

病葉と髪は散りにき

モートルの爆音高く

窓過ぐる黒き船あり

ひらめきて鴎はとび交ひ

岩波はまたしもあがる

そのかみもうなゐなりし日

こゝにして琥珀うりしを

あゝいまはうなゐとなりて

かのひとに行かんすべなし

●図書カード

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