Chapter 1 of 1

Chapter 1

中央公会堂の赤煉瓦

緑青色の高裁のドーム

中洲の葉柳をかすめて

とび去る水中翼船の渦巻から

ムツとするような水苔の匂い。

ついさつきまで

ランチ・タイムを愉しんでいた

BGやホワイト・カラー達も

みんな今は引き揚げていつてしまい

あとには

濡れ手で銭勘定の

貸ボート屋ののどかな浮世哲学。

上げ潮にむつかしい家裏をみせた川魚料理の

昼もほのぐらい煤天井に

うららかな水かげろうの文

軒場に張り出した

巣箱のようなエア・コンの上に

かえりそびれた

新聞社の伝書鳩が

ちよこなんと一つ

そろそろ夕刊の

降版の時間だというのに。

●図書カード

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