Chapter 1 of 1

Chapter 1

秋風死ぬる夕べの

入日の映のひと時、

ものみな息をひそめて、

さびしさ深く流るる。

心のうるみ切なき

ひと時、あはれ、仰ぐは

黄金の秋の雲をし

まとへる丘の公孫樹。

光栄の色よ、など、さは

深くも黙し立てるや。

さながら、遠き昔の

聖の墓とばかりに。

ま白き鴿のひと群、

天の羽々矢と降りきて、

黄金の雲にいりぬる。――

あはれ何にかたぐへむ。

樹の下馬を曳く子は

たはれに小さき足もて

幹をし踏みぬ。――あゝこれ

はた、また、何ににるらむ。

ましろき鴿のひと群

羽ばたき飛びぬ。黄金の

雲の葉、あはれ、法恵の

雨とし散りぞこぼるる。

今、日ぞ落つれ、夜ぞ来れ。――

真夜中時雨また来め。――

公孫樹よ、明日の裸身、

我、はた、何に儔へむ。

十一月十七日夜

●図書カード

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