Chapter 1 of 46

日本橋のそれにや習える、

源氏の著者にや擬えたる、

近き頃音羽青柳の横町を、

式部小路となむいえりける。

名をなつかしみ、尋ねし人、

妾宅と覚しきに、世にも

婀娜なる娘の、糸竹の

浮きたるふしなく、情も恋も

江戸紫や、色香いろはの

手習して、小机に打凭れ、

紅筆を含める状を、垣間

見てこそ頷きけれ。

明治三十九年丙午十二月

鏡花小史

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