Chapter 1 of 3

元気は青年の生命なり

今日の青年は中学でも卒業してから少し筆が立つとか、文学上の事でも研究すると直ちに俺は文学者になろうの新聞記者雑誌記者になろうのという考えを起し、小説の一つも書いてみたり論文の一つも綴ってみて、いっぱし文学者になった気になる連中が多い。勉強も仕なければ発達も仕ない。次第次第に惰け者になり柔弱になり、少しも青年の元気というものが無くなってしまう。不心得千万な事だ。元気は人間の生命といっても好い。ことに青年の生命である。青年にして既にこの元気が無いなら、もはや何事も成遂ぐることは出来ない。〔豊臣〕秀吉や〔徳川〕家康の如きはその人格の果して如何なる人で在ったかは、今日未だ断定することは出来ない。何となれば歴史は彼等の全体を窮うに足らないから、ことに家康の如きに至ってはあまりに誇張せられたる部分が多くないかとの嫌いがある。しかしながら、一生を通して如何に彼等が元気の旺盛な人物で有ったかという事だけは断言する事が出来る。大人物というも他にはない。ただ旺盛な元気を何時でも持って小成に安んぜず、勇進向上する者の謂である。これがまず今日の青年に望む第一の要件であるが、更に進んでは青年宜しく世界の大勢を察知して日本の位置を知り、以て自己の立場を確立して誤らざる事である。

Chapter 1 of 3