Chapter 4 of 4
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私は読み終って夫人に手紙を返した。彼女は手箱の中にそれを納いながらいうのだった。
「後になって勝田夫人の写真を見ましたが、私は勿論のこと小宮山麗子だって少しも似ては居りませんのよ。これは全くあの方の錯覚で、相手になっている女の顔は、皆夫人に似ているように思えたらしいんですの。しかしこの手紙で云っているのが事実だとしたら、日本の警察へ送って上げなければなりますまい。と、夫に相談いたしましたら、夫は笑って『精神病者の創作だろう』と申しましたので、その儘放っておきました。
すると一ヶ月ほどして内地から来た新聞に、
『某信託会社の保護金庫内よりミイラ現わる』という大標題で、勝田家の借りていた大金庫内のトランクからミイラが出たということが出ていました。軈てまたそのミイラは勝田夫人であったと報じてありました。私は夫と顔を見合せて苦笑いたしました」
●図書カード