Chapter 1 of 8

一 教育の目的

教育学の書物には教育の目的について、種々高尚なことが書いてあるようであるが、実際においては教育の目的は列国競争場裡に立って、立派に独立して行けるだけの資格を備えた次代の国民を養成するにあることはたしかである。もしこの目的にかなわぬような教育を施す国があったならば、その国の前途はすこぶるあぶない。されば教育に従事する者はこの実際的の目的を常に意識して一刻もこれを忘れてはならぬ。

さて列国競争場裡に立って立派に独立して行けるように次代の国民を養成するには、まず他の国々と自分の国とを比較してその優劣を考え、わがほうに劣った点があるならば力をつくして、一刻も早く他の国に追いつき、なおこれを追い越すようにつとめねばならぬ。またわがほうにまさった点を見いだしたならば、これはなお奨励していつまでもまさった位置を保つように心掛けねばならぬ。それにはまず他の国々に比してわが国が現在いかなる状態にあるかを熟知することが必要である。

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