Chapter 1 of 4

ある山のふもとに、大きな林がありました。その林の中には、いろいろな木がたくさんしげっていましたが、一番の王さまとも見られたのは、古くからある大きなひのきの木でありました。

また、この林の中には、たくさんな鳥がすんでいました。しかし、なんといっても、その中の王さまは、年とったたかでありました。多くの鳥たちは、みんな、このたかをおそれていました。

ある日のこと、古いひのきの木と、たかとが話をしたのであります。

「いま、人間は、ひじょうな勢いで、いたるところで木を伐り倒している。いつ、この林の方へも押し寄せてくるかしれない。人間は、りこうかと思うと、一面は、ばかで、自分から火を出して、自分の住んでいる家も、また、せっかくりっぱに、仲間のためになった街も、みんな焼いてしまう。そんなことは、俺たちが考えたって、想像のつかないことだ。そうして、家が失くなったり、街が焼けてしまうと、あわてて大急ぎで、俺たちのいる方へやってくる。そんなにまで俺たちは、人間のために尽くしているのに、ありがたいとは思っていない。」と、ひのきの木は、話しかけました。

くるくるとした、黒い、鋭い目をしたたかは、これをきいていましたが、

「人間というやつほど、わがままなものはない。おまえさんが、そう怒んなさるのも無理はない。私たちだって、これまでずいぶんこらえてきたものだ。」と、たかは、おうようにいいました。

「しかし、あなたがたは、自由に飛んで歩ける身体だから、なにも、人間のいうとおりにならなくてもいいのだ。人間のいないところへいってしまえば、つらいめにもあわなくてすむというものだ。」

「ひのきの木さん、おまえさんも、年をとって、すこし、もうろくなさったとみえる。私たちの仲間が、人間のために、どれほど、働いて、どれほど、いじめられてきているか知れたもんでない。だいいち考えてみなさるがいい。人間は、馬や、牛や、犬や、ねこのために、病院まで建ててやっているのに、私たちの病院というようなものを、まだ建てていない。こうした大不公平は、ここに挙げ尽くされないほどある。これに対して、あなたがた同様、私たちが、黙っているものですか。」と、年とったたかはいいました。

空を暗くするまでしげったひのきの木は、黙って、たかのいうことを聞いていました。

「おい、兄弟、もうよく話がわかった。俺たちは、みんな人間の仕打ちに対して不平をもっているのだ。しかし、まだ、これを子細に視察してきたものがない。だれかを、人間のたくさん住んでいる街へやって、検べさせてみたいものだ。そして、よくよく人間が、不埓であったら、そのときは、復讐しよう……そうでないか?」と、ひのきの木はいいました。

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