Chapter 1 of 1

Chapter 1

子供たちよ。これは譲り葉の木です。この譲り葉は新しい葉が出来ると入れ代つてふるい葉が落ちてしまふのです。

こんなに厚い葉こんなに大きい葉でも新しい葉が出来ると無造作に落ちる新しい葉にいのちを譲つて――。

子供たちよ。お前たちは何を欲しがらないでも凡てのものがお前たちに譲られるのです。太陽の廻るかぎり譲られるものは絶えません。

輝ける大都会もそつくりお前たちが譲り受けるのです。読みきれないほどの書物もみんなお前たちの手に受取るのです。幸福なる子供たちよお前たちの手はまだ小さいけれど――。

世のお父さん、お母さんたちは何一つ持つてゆかない。みんなお前たちに譲つてゆくためにいのちあるもの、よいもの、美しいものを一生懸命に造つてゐます。

今、お前たちは気が附かないけれどひとりでにいのちは延びる。鳥のやうにうたひ、花のやうに笑つてゐる間に気が附いてきます。

そしたら子供たちよもう一度譲り葉の木の下に立つて譲り葉を見る時が来るでせう。

●図書カード

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