Chapter 1 of 1

Chapter 1

一頭のやせ馬に、

ひかれゆく黒塗りのかた馬車。

乗ひ合は六人、

その中に一人の若かい女。

膝向き合はした客は、

お互に眼をひらめかし、

たゞ無言。

――疑ひの多き車内だ。

沙漠に似たる車内に、

一人の若かい女、

今宵の旅の疲れに、

一つの慰めとなる。

あゝ車内の若かい女、

夜のランプにたとへやう?。

その異性の光は、

私の淋しい心を照らす。

時々色と匂ひと、

車のゴタック毎にとろけて、

静かになつかしく、

膩にしんた肉にふるゝ。

哀れなものはやせ馬、

鼻息荒らく、たゆむ隙がない、

鞭の鳴る毎に

いや更に走る。

●図書カード

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