Chapter 3 of 6
男子の貞操
男子に貞操なければなり。
凡そ世に厄介なるものも少なからねど、妾は男子程厄介なる者は無しと思ふ。妾は男子の(暁天の星なる真の純潔なる士は例外)口より婦人貞操論を聞く度に、常にチヤンチヤラ可笑しくて噴飯し居るなり。然して耳を傾くる前に、先づお手許拝見と叫ばざるを得ざるなり。社会の滔々たる男子が、臆面も無く婦人貞操論を口にするイケ図々しさに至つては、只唯、呆れ入らざるを得ざるなり。
是れ畢竟、婦人を奴隷視し、侮辱するの甚だしきものなればなり。
妾は、我が婦人諸君が起つて、何故男子貞操論を絶叫せざるかを、頗る奇怪とする者なり。