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文庫版『雀の卵』覚書
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文庫版『雀の卵』覚書
北原白秋
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Chapter 7 of 11

現代短歌全集『北原白秋集』雀の卵

吹雪の夜(白牛)

吹雪やみて月夜明りとなりにけりおほに湧き起る牛の太吼 (二二一頁)

雪夜

いまだ起きて火だね守りゐたりさらさらとあたりの沈黙に雪のさやる音 (二二四頁)

石臼と杵

石臼と杵と真白き路次の奥あなさやけ今朝は一面の雪 (二三〇頁)

ふかぶかと雪盛りうづむ石の臼杵の柄も外に出てましろなり (二三〇頁)

雀の短日

短日の光つめたき小竹の葉に雨さゐさゐと降りて来にけり (二〇八頁)

横しぐれ濡羽はららに寒竹の枝をたわめて飛ぶ雀かも (二〇九頁)

春雑詠

白木蓮の花の木の間を飛ぶ雀遠くは行かね声のさびしさ (二八六頁)

鴉のこゑ遠退きゆけば雀のこゑ連れつつ明る雨霧の中 (二一三頁)

春の目ざめ

鐘鳴りて早やも子供の声すなりほのぼのしかも春の寝醒は (二九〇頁)

朝めざめ朱墨つきたる掌などしみじみと見つつ起きむともせず (二九〇頁)

南画趣

酒のまぬ人は窓から顔出してひめもす四方の雲眺めます (二四四頁)

述懐

目を掻けば思ひかけずも火のごとき忘られしもののしたたりにけり (二四七頁)

ははそはのこれや我が母我がどちのこのよき母も老いましにけり (二六五頁)

咽喉ぼとけ母に剃らせてうつうつと眠りましたり父は口あけて (二六七頁)

垂乳根の深き溜息今もなほ耳にこもれり外をいそげども (二七一頁)

もの言はば涙ながれむこの父になにかあらがはむ父の子なるを (二七二頁)

麻布山

母と来て遊ぶ子供をながめゐつ此方ながめつ遊ぶ子供も (二七五頁)

ある時

急に涙が流れ落ちたり母上に裾からそつと蒲団をたたかれて (二七七頁)

右に就き附言したいことは、『花樫』は昭和三年十月改造社より刊行され、現代短歌全集『北原白秋集』は同四年九月同社より上梓された。で前ので訂正された歌は後のもさうなつてゐる。又、『花樫』は同五年に改造文庫の一冊として再版された。その時、初版に一二訂正を加へたのがある。

Chapter 7 of 11
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