Chapter 1 of 12
緑の種子
種子はこれ感覚の粋、
緑は金の陰影にして、幽かに泣くはわが心。
種子を哀しめ、よきひとよ、
冷たく、小さき芥子のたね、その一粒に心せよ、
歔欷けかし、日の光。
種子はこれ霊魂の粋、
生ける宝石、「時」の秒、金と緑の夜の秘密、
淫慾の芽の潜伏所、
阿片の精。
種子を哀しめ、よきひとよ、
緑は色の粋にして、
智慧と不思議と生滅の見えざる悲劇、
万華鏡。
消え去り難き幽霊の
芥子の緑に泣くごとく、
裏切したる歓会の醒めて哀しきわが心。
種子を哀しめ、よきひとよ、
歔欷けかし、日の光。
四十五年八月