Chapter 1 of 1

Chapter 1

ありとあらゆるわが思、「愛」と語りて弛なく

その種々の語の數いと繁きひといろは、

勢猛にわれをしも力の下に壓さむとし、

またひといろは勢を誇り語りて、らうがはし。

あるは望を抱きつゝ、悦われにあらしめつ、

あるは頻にわれをしも憂ひ悲しましむれども、

「憐」仰ぐひとことは、すべての思皆おなじ、

心の底に潛みたる「恐」によりてふるひつゝ。

さてはいづれの思をば、頭の心と定むべき。

語り出むと思へども、語らふべきを吾知らず。

ただ茫然と、迷はしき「愛」の衢にひとり立つ。

かくて思のいづれにも適はむ事を求むれば、

他に詮術のあらばこそ、口惜しけれど吾は唯

身のまもりにと呼はらむ、かたきの姫の「憐」を。

●図書カード

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