Chapter 1 of 4
Chapter 1
この二つの序文は、私が前から心がけていた『雪華研究の記録』につけるために書いたものである。初め戦争中にこの本を出そうと思って書いた序文と、敗戦後に書いた序文とを、二つ並べてこの随筆集の中に入れた。
『雪華研究の記録』は、稿を起してから、既に四年半になるが、未だに出来上らない。敗戦前一年半の悪夢のような生活と、敗戦後三年間の自分の心の焦燥とを思い返してみると、それも当然のことのような気がする。しかしもう気持も落着いたので、そのうちにこの『記録』も世に出ることと思う。しかしそれにはこの序文は二つとも必要がなさそうである。今度書くとしたら、態度が今少しちがうであろうと思われるからである。
しかしこの二つの序文には、それぞれその時々の気持が出ているように思われるので、棄てるのも惜しく、本書に入れた次第である。