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国際聯盟とは如何なものか
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国際聯盟とは如何なものか
新渡戸稲造
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Chapter 5 of 6

聯盟事務局の組織

聯盟事務局には一人の事務総長がいる。ジェームス・イーリック・ドラモンド卿がその人である。卿は英人――というよりも蘇蘭の最高貴族の一人で、いわゆるクランの大なるもので、兄が家長で、マークィスを称している。マークィスには子がないから兄百年の後は卿がその後を嗣ぐことになるであろう。しかし卿が総長に挙げられたのは無論家柄のためでない。巴里の講和会議の際、卿も英国の委員として出席し、頗る機敏に活動しかつ公平な人であったので、大統領ウィルソン氏の厚き信頼を受け、第一次の事務総長に推され、その他の事務局員は卿の選任に任ぜられたのである。総長の下に三人の次長がある。仏、伊、日の三国から出ている。これらの人々はその本国を代表するものでなく、一種の国際人であって、本国の利害を離れて国際事務を処理している。従てまた本国より俸給その他の手当も受けないのである。各国人にしてジュネーブに来り、聯盟を研究する者さえこの点を諒解するに苦み、やはり事務局員を各国の代表者と思っている。

事務総長及び次長の下に十人の部長がある。経済財務、軍備縮少、社会問題、保健、交通、情報会計等の各部に部長があり、英、仏、伊、日、蘭、波蘭、和蘭、加奈陀、諾威、等の国人より成り、毎週一回二時間位の部長会議を開き、各種の問題を打合せまたは討議する。用語は総会と同じく英仏語であるが、いずれも英仏語に熟達しているので、前の人が英語で話せば、次の人もそれに釣られて英語で話すが、ちょっとつかえると自分の仏語に戻り、次の人もそれにつれて仏語で話し、つかえるとまた英語に戻るというような風である。

部長の下に事務官、書記があって、それぞれの事務を執っている。事務局の局員総数は四十ヶ国、四百七十人より成っている。従来国際会議の事務所というものが設けられてあるが、その事務員は少きは二、三人、多くも五十人に上らぬ少数で事務を処理しているが、国際聯盟の事務局はこれに比すれば堂々としたものである。この内英国人は六、七十人、仏人は五、六十人、瑞西人は本国であるだけに四、五十人もいる。日本人は我輩の外に三人あるのみである。

Chapter 5 of 6
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