Chapter 1 of 1

Chapter 1

塔は額にきづかる、

螢をもつて窓をあかるくし、

塔はするどく青らみ空に立つ、

ああ我が塔をきづくの額は血みどろ、

肉やぶれいたみふんすゐすれども、

なやましき感傷の塔は光に向ひて伸長す、

いやさらに伸長し、

その愁も青空にとがりたり。

あまりに哀しく、

きのふきみのくちびる吸ひてきずつけ、

かへれば琥珀の石もて魚をかこひ、

かの風景をして水盤に泳がしむるの日、

遠望の魚鳥ゆゑなきに消え、

塔をきづくの額は研がれて、

はや秋は晶玉の死を窓にかけたり。

●図書カード

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