Chapter 1 of 1

Chapter 1

ああその燃えあがる熱を感じてゐる

この熱の皮膚を

しばしば貴女にささげる憂鬱の情熱を

ただ可愛ゆきひとつの菫の花を

貴女の白く柔らかな肌に押しあてたまへ

ここにはまた物言はぬ憂愁の浪

紫をもて染めぬいた夢の草原

ああ耐へがたい病熱の戀びとよ

戀びとよ

今日の日もはや暮れるとき

私は貴女の家を音づれその黒い扉の影に接吻しよう

しほしほと泣く心の奧深く

貴女はその惠をたれ

慈愛をもて久遠の道を聽かせ給ふか

貴女は尊き婦人 私の聖母

苦しき苦しき愛憐の祈りをきく人

この可愛ゆきひとつの菫の花を

ただ微かに貴女はほほ笑み

貴女は微かにかぐ 恐ろしい絶望の底の神祕を

人間の虚無の苦惱を 貴女は一人知る

貴女は一人知る

ああ この暗い紫の色の感情を

紫の色の、げに吐息深き私の病熱の戀びとよ。貴女は。

●図書カード

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