Chapter 1 of 36
入社の辞〔『少女』〕
私はこの七月から入社いたし皆様のために働くことゝなりました。私の心は悦しさに充ちて居ります。それは皆様といふ沢山なお友達を得ることが出来たからであります。庭の草花もほゝえむでゐるかのやうに見える程、私は爽かさを感じながら面白く仕事をして居ります。
しかし世の中のことがさう易々と運ばれるわけはありません。殊に巣を出たばかりの私のすることは定めし皆様方に御不満が多からうと恐れてゐます。いづれは努力の結果が玉となつて皆様の前に見出される日はなければならないと私は堅く信じてゐます。
未来は長いのです。私はこれから皆様の前に活動することのみによつて、私の芸術を築き上げる決心です。