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栄養学小史
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栄養学小史
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Chapter 2 of 31

化学革命

1785年以前にも、多くの学者たちは我々の食べている食物が体内でどのように使われているかを考察し発表してきた。しかし、この問題を定量的に科学的に検討するには、18世紀末にフランスでいわゆる“化学革命”が起きて、多くの元素が同定され、化学分析の方法が発展するのを待たなければならなかった。このような一般化には、後で述べるような例外(訳注:壊血病の研究)があった。現代の研究者たちは18世紀末にこの“革命”を起こした科学者たちの研究についてよく知らないし、彼らの能力をしかるべく評価していない。しかし彼らは指導者であり、“動物化学の暗い森”に進出した点で同時代の人々の先駆者であった。

たとえば1785年にベルトレがフランス科学アカデミーに提出した発見は重要な意味を持っている。彼は動物物質(*:タンパク質)が分解して発する気体はアンモニアであり、3容量の水素と1容量の窒素からなり、重量では約17%の水素と83%の窒素からなることを見いだした(1)。現在の値は17.75%および82.25%である。これは感激すべき仕事である。この時代に入手できた装置だけを使って、今日の研究者たちの多くはこの研究を繰り返すことができないであろう。

動物物質に窒素が含まれ、砂糖、デンプン、脂肪には窒素の含まれていないことが、他の人々によって確認された。しばらく前から、小麦粉には腐らせると動物物質と同じようにアルカリ性の蒸気を出す物質(グルテン)の含まれることが知られていた。これ(グルテン)があるので小麦は優れた食物なのではないか、新しく利用されるようになったジャガイモはグルテンに相当するものを含まないので小麦の代用となるか、が議論された(2)。

もっとも有名なラヴォアジエをはじめとして、フランスにおいて“化学革命”を起こした化学者たちは、代謝にも興味を持っていた。ラヴォアジエは助手セガンの協力のもとに、安静時および重量挙げにさいしての呼吸による炭酸(二酸化炭素)の排出を測定し、活動によってどのように増加するかを示した(3,4)(図1)。これは重要な進歩である。何故かと言うと、それまで呼吸の目的はすべて心臓を冷やすためであり、成人における出納の研究で、大便や尿に回収されない摂取物質は“不感蒸泄”で失われるに違いない、と考えられていたからである。

図1 ラヴォアジエ夫人によるスケッチ。夫は助手セガンの炭酸の排出を測定し、彼女はその記録をとっている。(Wellcome Institute, London)

ラヴォアジエは数学者ラプラスと協同して、二酸化炭素生成に伴うモルモットの熱発生を、ロウソクや石炭が燃えるときの結果と比較した。熱発生は氷カロリメーターで測定した。ここで発生熱は、動物または燃えているものを入れた内室の周りの氷から溶けて出る水の重量に比例した(5,6)。正確とは言えないが結果は彼らが信ずるように、モルモットの組織内で有機物質が燃えると考えることができた。カロリメーターのその後の進歩については、栄養学小史(その二)に譲る。

ラボヴァジエは呼吸の次の研究に進んだが、“恐怖時代”の1793年に逮捕され、牢獄につながれた。1794年の裁判の日に彼は処刑を少し延ばして実験を一つさせて欲しいと懇願した。しかし、“共和国は学者を必要としない”と判事は答え、午後にラボヴァジエはギロチンにかけられたと言われている。

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