Chapter 8 of 14
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ホミには写真のアルバムが何冊かある。ゼロ歳から十四歳の現在までで、すでに数冊の分厚いアルバムが出来ている。それらはひとまとめに彼女の部屋の本棚におさめてある。彼女の父親は、カメラの会社、としていまの彼女が理解している会社に勤務している、技術系のサラリーマンだ。彼は写真が好きだ。スティルだけではなく、8ミリもそしてヴィデオも、なにかきっかけがあるたびに、好んで撮影する。ひとり娘のホミは、彼にとって常に恰好の被写体となって来た。そしてホミは、写真や8ミリに自分が撮影されることを、たいへんに喜ぶ。
ホミが十二歳のときに撮影された数多くの写真が貼ってあるアルバムのなかに、おなじカラー・プリントを二枚ならべて貼ったページがある。初夏のきれいに晴れた日曜日の午後、父親が自宅の庭で撮ったホミの写真だ。じつに可愛い、頭の良さそうな、姿のいい十二歳のホミが、カメラのレンズに視線をむけて、にっこりと微笑している全身像だ。父親は腰を落とした低い位置から、そのときのホミを撮影した。
縦位置の、まったくおなじカラー・プリントが二枚、そのページには左右にならべて貼ってある。左側に貼ってあるプリントには、なにも手が加えられていない。そしてプリントの下には、「私がいます」と、ホミは書いている。右側のプリントからは、ホミの全身がきれいに切り抜いてある。彼女が自分で切り抜いたのだ。庭だけが写っているプリントのなかに、切り抜かれたホミの形に、アルバムの黒い台紙が見えている。そのプリントの下には、「私はいません」と、ホミの字で書いてある。カラー・プリントから切り抜いた小さな紙切れとしてのホミは、ほかのページの片隅に裏がえしに貼ってある。ホミ自身がそのように貼った。