Chapter 2 of 364
一月一日(水曜)
京宝劇場初日。
宿で、屠蘇・雑煮。屠蘇は甘味なく、雑煮は白味噌の汁なり。夕刻、思ひついて相鴨のすきやき、青い葱と水菜がうまく、たっぷり食って、宿を出ると、つい二三丁のところ、京宝劇場、今日初日で夕五時半から一回。入りは満員。一の「学校友達」では、客が乗ってない感じで心配したが「ガラマサ」の一景で安心した、笑ひすぎる程よく笑ふので、セリフの次が出ない位だ。五景迄無事だったが、三味線ひきの爺がひどくて、肝腎の義太夫のクライマックスが、てんでいけない。代へて貰はないと芝居が出来ないと言っておく。「歌ふ弥次喜多」は、大受け、先づ安心した。徳山と岸井が、今夕四時に着いたが、二人とも風邪をひいてゐる。初日ながら十時打出しの好成績。宿へ帰り、かやく飯を食ふ。吸入かけてねる。
京都の客は、女が多く、よく笑ふ。但し、ニュース的神経はなく、たゞ可笑しいものが可笑しいと云った型なり。宝塚はインテリ風、京都は一口に素直と云ふべきか――さて名古屋は何んなものか。