Chapter 6 of 7
新年
ひそかなる枯菊に年改る
正月や炬燵の上の朱短冊
木島寿水居にて玩具など好きな主や午の春
虚子庵にて返り咲く小米花あり門の春
炭斗に炭も満ちたり宿の春
干柿も其まゝ黒し宿の春
よき炉火と我とのみあり宿の春
虚子庵のいつもの部屋やお元日
正しくも時の歩みやお元日
水仙にかゝる埃も五日かな
初富士に往来の人や富士見町
やう/\に三の鳥居や初詣
鎌倉に馬車あり乗りて初詣
受けて来し七福神や置き並べ
風寒し破魔矢を胸に抱へくる
抱し子に持たせて長き破魔矢かな
餅花やもつれしまゝに静まれる
餅花や捨んとしつゝ美しき
餅花の凍てゝ落つるや少なからず
四阿の輪飾落ちぬ雪の上
虚子庵にて輪飾を掛けて使はず外厠
鬚はねて太長し飾海老
年頭虚子庵にて荒木紅々氏の佐世保より来るに会してはる/″\と慕ひ来りし賀客かな
虚子庵にてはからずも旭川翁と御慶かな
虚子庵に不参申して寝正月
初暦翁格子の襖かな
白洲ある古き舞台の能始
裃の古びし老や能始
能始着たる面は弥勒打
註 弥勒は能面作者の名小人数の親しき中の初句会
土間広し二組羽子をつきにけり
羽子板の判官静色もやう
凧の影走り現る雪の上
玉虫を含めりにけり福寿草
福寿草一鉢置けば座右の春
取散らす几辺なれども福寿草
日の障子太鼓の如し福寿草
正月も古りつゝ福寿草たもつ
盆梅の仕立し枝やうらおもて
盆梅の枝垂れし枝の数へられ